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大阪医療ソーシャルワーカー協会主催 「MSWの資格を考える学習会」

大阪医療ソーシャルワーカー協会主催の「MSWの資格を考える学習会」パネルディスカッションが、2007年12月15日、大阪市内で開催されました。
全国医療ソーシャルワーカー協会連絡協議会を代表して黒木信之会長が報告いたしました。
主催者のご了解を得て当日、時間の関係で報告できませんでした内容も含めて掲載いたします。

○ はじめに

只今紹介いただきました全国医療ソーシャルワーカー協会連絡協議会(以下、全国協議会)の会長の黒木です。本日は、年末の多忙なときに「MSWの資格を考える学習会」を開催された大阪医療ソーシャルワーカー協会の皆様に感謝申し上げます。

さて本日は、全国協議会を代表してMSWの資格の考えについてお話をさせていただきます。
私は、昭和53年日本福祉大学を卒業して名古屋第二赤十字病院に就職して約30年間MSWの国家資格化について活動をしてきました。皆さんにとって「何故今また国家資格化を考えなくてはならないのか」という疑問があるかと思います。

1987年 社会福祉士及び介護福祉士法が成立しました時、厚生省は、MSWの国家資格化を考えておりました。それから20年MSWの国家資格はできず資格のないまま今日を迎えました。自称MSWとして無資格でサービスとしての業務として今も続いています。医療法では、いてもいなくてもよい存在です。ここ数年来、厚生労働省は、医療費抑制政策を具体化するために過激な医療制度改革を進めています。特に昨年からはじまった抜本的な改革で、地域から医療制度の崩壊がはじまりました。厚生労働省は、医療費抑制政策を具体化して急激な在院日数の短縮、包括医療を進めるための医療機能分化を進めています。現場のMSWは、医療費抑制政策で増員どころか削減されているところもあります。まさに増員なきレベルアップです。

MSWの労働条件は、年々悪化しています。業務は増え、超多忙になっています。民間病院では、低賃金に抑えられMSWの資質の低下、職場の不適応でストレスは増大しています。

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○ 経済的問題からMSWの資格制度を考える

厚生労働省は、2005年医療制度改革大綱で高齢化社会のピークの2025年に自然増の医療費 56兆円を7兆円圧縮し49兆円に押さえる目標を打ち出しました。
今、何故MSWの国家資格を考えなくてはならないかというと一番の大きな理由は、経済問題です。
MSWが全国に1万人います。MSWの人件費が一人400万円と換算して約400億円をどこから捻出するかによってMSWがこれからも存続できるかどうかという大きな問題になります。
MSWの人件費は、公立病院以外の民間病院では医療機関の収入に依存しています。
MSWは、医療法に位置づけられず必置性ではないため、全部の医療機関にいるわけでなく、また、MSWを採用するかどうかは経営者の裁量になっています。
公立病院の7割は、低医療費政策で赤字病院が増えてまさに経営危機に陥っています。

多くの医療機関は、経営戦略のためにMSWを雇用し、病床を効率よく回転させることで収入増加を図ろうとしています。そのためにMSWの業務の中心は退院援助中心にならざるを得ません。
国は、経済財政諮問会議の骨太方針の下、借金財政の国家の収支を改善するために毎年、社会保障費を2200億円削減することを決めています。そのために、2年ごとの診療報酬でマイナス改定が行われてきたのです。
これ以上、医療機関の赤字財政がつづけば、利益を生み出せないMSWは、今後リストラや配置転換が始まりかねない状況にあります。

国家財政は、完全に破綻をきたしています。国の借金は、昨年までに827兆円になっています。国民一人650万円の膨大な額になってきました。地方とあわせると1000兆円になっています。
未来の子供たちの借金によって今の人たちは幸せに生きているのです。
医療費も2004年には32兆になっています。それまで1兆円の割りで伸びてきました。
老人の医療費が、2005年には総医療費の3割の11兆になってきました。急激に老人医療費が増加して、老人保健制度が破綻しました。問題は、健康保険や組合健保、国民健康保険等の各医療保険者が老人保健の拠出金6兆円を捻出できなくなったことが最大の原因です。

介護保険が医療費の負担分を担って総医療費や高齢者の医療費の伸びが抑えられました。介護保険が始まった2000年の時は3.6兆円だったのが2005年には6.8兆円の2倍になってきました。老人保健の医療費は介護保険に吸収されましたが、それでも老人保健の財政は保たなくなり、後期高齢者医療制度への変更を余儀なくされました。

2002年はじめて診療報酬がマイナス改定になり、医療機関の経営危機が始まりました。
2006年の大幅なマイナス改定により公立病院も含め病院の多くは深刻な経営危機になりました。
地方の公立病院や民間病院では、労働条件が悪化し多くの医師たちが退職して開業を始めました。

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○ 医療機関の機能分化

厚生労働省の医療費抑制政策により、急性期病床は、平均在院日数が17日〜21日で急性期加算されます。一般病床は、治療中心ですが老人保健の高齢者は入院が3ヵ月経過すると包括医療になります。回復期リハビリテーション病棟は、2006年4月から、発症して2ヵ月以内に転院しなければならず、また疾患ごとに入院期間が限定されるようになりました。亜急性期病床は治療、緩和ケア病棟はターミナルケア、療養病床は(医療保険・介護保険)介護療養、特殊疾患療養病床は、重症患者療養となりました。
MSWの退院援助は、2年の診療報酬の改定ごとに患者の行き先がなくなり退院援助がますます厳しくなってきてストレス度も増えています。

名古屋第二赤十字病院は、807床の急性期病棟で、2006年の新規入院患者数は55.9人で、平均在院日数は12.7日です。ここ5年前から医療制度改革の影響で急激な数字になってきました。
まさに現場は戦場になってきています。医師も看護師も事務も疲弊しています。年間約260億円を売りあげています。正社員を減らし、派遣社員を減らし人件費比率は37%になっています。ものすごい勢いで患者の入退院が激しくなっているかを実感できる数字ではないかと思います。
現場の患者の入退院の延べ患者の増加はMSWの業務を増やしストレスが増大しています。
このままMSWが増えず業務だけが増えていけば、心身ともに疲れはて、いつかは体力、精神力の限界がきて倒れるか、退職するかが近づいています。まさに急性期の現場は、一病棟MSW一人の時代がやってきたのです。807床ありますので約20人のMSWが必要な現場ですが、今だに5人でどうやってこの現場をのりきるのか。MSWがいくら時間外もがんばっても追いつく業務ではないのです。

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○ 現場で求められる資質

今の社会福祉系大学の学生を採用してもある程度の相談にのれるまでに3年から5年はかかります。
社会福祉士の資格があってもなくてもMSWとしては素人同然です。
マイナスからの養成を現場はしなくてならないのです。1000万から1500万円支払って医療機関はMSWを育てなくてはならないのです。こんなMSWの教育の現状ではとてもプロと呼べる養成ではないのです。まさに昔の職人と同じような徒弟制度の教育から永遠に抜け出せないのが今のMSWの養成の現状です。これでは、いつまでも個人の努力でしか一人前にはなれない。先輩がいない医療機関では、まずつぶれて辞めてしまうのではないでしょうか。

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○ 医療機関の現場

社会保障構造改革で医療と福祉は市場化されてきました。(注:競争原理が導入されたという意味で使用、診療報酬・介護報酬が公定価格であり、かつ、国家の政策的な医療・福祉のコントロールという点では正確には準市場化が正しい。)

2000年以降、介護保険が措置制度から契約社会になったことで医療・福祉の経済的国家保障がなくなり経営努力をしない医療機関は、倒産する時代になってきました。診療報酬の引き下げによって医療機関は経営難になってきたのです。まさに医療も福祉も2極分化しています。患者が集まる医療機関は多忙になり患者が来ない医療機関は経営悪化したため病床を縮小するか倒産するかの時代になりました。 
公立病院は市町村の税収不足で経営危機になってきています。介護保険は、営利企業が参入してきました。介護・福祉の市場化により資本の論理が導入され利益優先の経営方針は、不正を構造的に起こしたコムスン問題が顕在化しました。

医療機関は、在院日数の短縮化により急性期病棟は患者が激増し入退院が激しさを増しています。 
医師・看護師は、早期退院の判断やクリニティカルパスにより早期治療の終結でストレスも増加しています。同時に患者・家族も早期治療・早期退院に対して医療者側に不満や不安があります。
そのため、依頼されるMSWのストレスも増加しています。MSWは、患者・家族への援助のスピード化により時間に追われています。
MSWも病院側の立場か患者・家族側の立場かの間に挟まれてストレスは増えています。
このことを社会福祉労働の2面性といいますが、そんなことを教えてくれる先生が社会福祉系大学には少なくなったようです。患者が集まる医療機関は多忙になりベテランMSWの労働条件も悪化しています。毎日、長時間労働で残業が増え体調も悪化していきているのが現実です。

現場のMSW達は肉体的・精神的ストレスによるうつ病や心身症、その他にも多くの疾患で療養している人が増えています。MSWの悩みは深刻化し就職して3年以内の離職率が高くなっているといわれています。また35歳以上のベテランの女性は結婚や子育てで離職率が高い調査結果が出ています。このMSWの世界の年齢構成は非常にいびつです。40歳以上のMSWはほとんど退職しています。MSWが、長期に続くところは、公立や公的病院か大学病院等で位置付けや経営的に安定しているところなのです。
医療現場には、医療費の自己負担増や在院日数の短縮で洪水のように様々な問題が押し寄せてきます。養成されていない若いMSW達は問題に対応できずまたマンパワー不足でやる気を失っています。
全く自ら利益を生まないMSW達は人件費の出所がなく、いずれ体力や気力が衰えて倒れるか退職するか選択を迫られてきます。MSWの人件費を解決するには、国家資格化によって業務を点数化し自分の人件費を稼げるようにするしかないと思います。

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○ 他職種のMSW業務への参入

今、医療現場では多くの病院で退院調整看護師が増加しMSWの業務に参入してきました。1994(平成6)年度、済生会山口総合病院に設置されたことが看護師の 全国のモデルになっています。
多くの病院でMSWの業務と競合が起きています。
居宅介護支援専門員(ケアマネジャー)は、MSWの国家資格ができなくなったことでできた資格です。教育のテキストはMSWの養成に近い内容になっています。

介護保険の相談は看護師、介護福祉士、社会福祉士、その他、MSWが国家資格化にならなかった代替でできた資格である居宅介護支援専門員が行っています。
医療コーディネーターは、看護師が一定の研修を受ければ協会認定して、がん患者の医療・心理相談に対応しています。これからますます医療の中に取り入れられようとしています。
精神科・心療内科等で医師の指示を受けて、心理的援助を行う臨床心理士・医療心理師の国家資格化の法案が一度、国会で検討されました。今後また法案の提案がされる可能性があります。
今の医療現場では、MSWに取って代わる様々な職種が増えてきています。このまま国家資格がないままMSWが存在すれば、いずれ他の職種に取って代わられる事態が急速に進行しています。

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○ MSW教育の責任

今、医療現場で重要なことはMSWの教育・養成です。MSW教育は誰の責任なのか。原則的に今は、個人の責任であろうと思います。MSWの教育が完備している大学も現場もないのが実情です。
しいて言えば職場の責任かもしれませんが、先輩がいなければ、それも問えません。それを支える教育として、都道府県協会がある訳ですが一人前になるまでの教育はとてもできる状況ではないのです。
社会福祉系大学の責任も大いにありますが、MSWの教育のカリキュラムがない以上責任を問うことはできません。あくまで社会福祉系大学の自主的な教育であります。
MSWの教育として(社)日本医療社会事業協会や(社)社会福祉士会の責任もあるでしょう。
本当は国に責任があるのでないかと思いますが、MSWが国家資格にならない以上、国の責任を問えないわけです。

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○ MSW教育の課題

医療機能分化や診療報酬の改定でMSWの業務は、大半が退院援助中心の業務になってきました。MSWには医師や看護師等と対等に話せる高度な医学知識や医療制度、診療報酬等の教育が必要になっています。診療報酬の改定ごとに医療機能分化は進み病院の機能は大きく変化しています。 また病院の機能の学習が必要になっています。

MSWの実習は、あくまで個人で任意です。実習を単位にしている大学もありますが医療の現場のMSW達は忙しく長期の実習は受け入れられない状況があります。
社会福祉系大学も学生を集め健全経営を行うためには、社会福祉士・精神保健福祉士中心のカリキュラムや実習の体制にならざるを得ず、医療福祉論等のMSWに関する講義は無くなっています。
MSWの教育は、MSWを志望する個人の自助努力に依っています。
「MSWイコール社会福祉士プラス研修・認定」といわれていますが、一方で、社会福祉系大学の教授の中には、「大学・大学院での教育は現状では無理」と言う人もいます。また「MSWの国家資格化は社会福祉系大学の教育の崩壊を招く」という発言もあります。MSWの国家資格化は社会福祉系大学や大学の先生達のためにするのでなく、現場のMSWや国民のために行うのであり、本末転倒の話であります。

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○ MSW教育への提言

厚生労働省は、MSWの業務指針の業務ができるMSWを望んでいます。そのことが、国のため、引いては国民のためになります。そのためには、業務指針の業務ができるMSWの教育体制の確立が望まれます。また各医療機関や患者・家族が求めるMSW像の構築を行うことで現場に必要なMSWになることができます。現場が求めるMSW資質は何が必要かを現場のMSWから提言しないと現場に通用するMSWの教育はできません。
学生や現任者のMSW実習の確立をしないと臨床のできるMSWになれないと思います。

医療制度改革で現場の業務が日々変化するためには、社会福祉系大学と都道府県協会が連携しながら実習の内容を具体化する時にきていると思います。
MSWの教育を国家の責任にするためには、MSWを国家資格化して専門的な大学教育と実習と現場での現任者教育の体制づくりが求められています。

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○ 全国協議会設立

全国協議会設立に向けて愛知県協会は、2005年から資格制度化委員会をつくり検討してきました。2006年度と2007年度に全国協議会の設立と参加について総会決定して2006年5月に第1回準備会を行いつくば市において8県が集まり趣意書・規約・基本原則の検討をいたしました。12月に第2回準備会を名古屋市で11府県参加して行いました。そして今年の7月14日名古屋市で発足式を行いました。愛知、三重、岐阜医療、広島、岩手、富山の6県が会員として参加して会員1,362名で発足いたしました。そして7県がオブザーバーで参加していただきました。 

全国協議会の活動の目的は、厚労省「MSW業務指針」に基づくMSWの専門性を追求していくことです。主な活動の内容は、1)MSW資質の問題への対応・各県協会の教育・研修の問題の意見交換・現場に即したMSWの業務の見直し ・MSWの研修・実習の確立、2)MSWのマンパワーの問題への対応・労働条件の調査 低賃金 長時間労働・MSWの国家資格化の可能性の活動・厚労省・国会議員へ働きかけ・関係機関・全国研究大会の開催などです。

発足式のとき京極高宣先生は記念講演で「MSWの国家資格は何故必要か」について次のように述べられました。1)在宅医療の本格的推進、2)難病・末期ガンの患者及び家族への支援、3)MSW従事者の地位と待遇の向上、4)地域包括支援センター等のスタッフ化です
京極高宣先生は、MSWの国家資格化の形を次のように提案されました。精神保健福祉士と医療福祉士(仮称)の独自科目カリキュラムを比較して提案されています。

 
精神保健福祉士
医療福祉士(仮称)
1
精神保健福祉論
医療福祉論
2
精神医学
医学特論(末期ガン・難病・臓器移植等)
3
精神保健学
在宅医療論
4
精神科リハビリテーション学
リハビリテーション医学
5
精神保健福祉援助技術総論
医療福祉援助技術総論
6
精神保健福祉援助各論
医療福祉援助技術各論
(退院計画・地域ケアマネジメント・
ターミナルケアを含む)
7
精神保健福祉援助技術演習
医療福祉援助技術演習
8
精神保健福祉援助技術実習
医療福祉援助技術実習

またMSW国家資格化への5つのコースも紹介いただきました。
(第1コース) 社会福祉士有資格者がMSW独自科目を履修してくるケース(通信又は通学)
(第2コース) 精神保健福祉士有資格者がMSW独自科目を履修してくるケース(通信又は通学)
(第3コース) 看護師等がMSW独自科目及び共通科目を履修してくるケース(通信又は通学)
(第4コース) 大学等でMSW独自科目及び共通科目を履修してくるケース(通信又は通学)
(第5コース) 既に医療現場でMSW実務を3年以上経験してくるケース(短期養成)・・・現任者救済
 資格化への対応として科目別事例を提示して頂きました(図1)。科目別では、SW独自科目、PSW独自科目、MSW独自科目そして共通科目があり、整合性のある現実的な内容であると思います。

 

(図1)

SW
独自科目
PSW
独自科目
MSW
独自科目
共通科目

 

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○ MSWの国家資格化厚生省提案

1987年に社会福祉士及び介護福祉士法が成立しました。当時、新たな医療関係職種の資格制度
のあり方に関する検討会が設置され、受験資格は高卒3年以上という厚生省の医療福祉士案がはじめて厚生省からMSWの国家資格として提案されました。1989年には厚生省はMSWの業務を明らかにする目的で「医療ソーシャルワーカー業務指針」を作成しました。
MSWの国家資格化が一番現実化した時が1990年でした。健康政策局より、医療福祉士仮称案である資格の形が提案されました。「受診・受療援助等を保助看法を解除して診療の補助業務として位置付け、養成課程は社会福祉系4年制大学、学問的基盤は社会福祉科目及び保健・医療科目 」が提案されました。「医師の指示」問題、及び「医療職としての位置づけ」に対して、MSWは医行為をしないと反対致しました。
また、10年前に精神保健福祉士法が成立した時の附帯決議で、MSWが一致すれば検討会を開催することの提案がありました。しかし、その後MSWの協会が希望しないため実現しませんでした。

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○ 2006年社会福祉士実習施設医療機関指定

社会福祉士実習施設に医療機関指定が指定されましたが、あくまで社会福祉士の実習であり、MSWの実習ではないことを社会援護局は明言しております。MSWのための実習ではないということです。実習内容から「受診受療援助」が除かれているのはそのためです。
最近は、社会福祉士取得がMSWの採用の条件になっています。しかし、「受診受療援助」ができない社会福祉士をこれからも医療機関が雇用するかどうか疑問です。今は、MSWと社会福祉士を曖昧にしているから医療機関は社会福祉士をMSWとして雇用しています。MSWとは誰なのか決まっていなく今は誰がやってもよいのです。いろいろな職種の方々が明日からMSWと名乗りますと言っても誰も止めることができません。
医療現場の状況は、社会福祉系大学やいろんな団体や組織がMSWは社会福祉士といえば言うほど誰がやってもよいといっているようなものなのです。

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○ 厚生労働省健康局 MSWのための業務指針

厚生労働省健康局の考え方によれば、MSWと社会福祉士は明確に違う定義です。はっきりいえることは、健康局が作成したMSWの業務指針はMSWのためのものであり、社会福祉士のために作成したのではないことです。業務指針には、受診受療援助がありますが社会福祉士の実習にはないからです。社会福祉士は医行為を行わない。医師の指示は受けないということが医療福祉士の反対の理由でした。しかし、社会福祉士自らがMSWを診療報酬から削除して社会福祉士を診療報酬に明記させたことは、医師の指示関係を社会福祉士は受け入れたということになります。このことは医療福祉士仮称案が提案されたときの最大の反対理由でした。社会福祉士が医行為受け入れたということになれば、医療福祉士仮称案に反対する理由がなくなったということになるではないでしょうか。
そうなると、社会福祉士を医療に位置づける方々の理由は一体何でありましょうか。
社会福祉士の資格を守ることで社会福祉の教育を守り経営的にも学校を守ることが目的となっているのではないでしょうか。しかし、医療現場がMSWに対して求める役割に謙虚に耳を傾ける努力をしないまま社会福祉士の資格で押し切ろうとすれば、自称MSWも素人同然のMSW達も医療現場からは居なくなります。それで、いいのでしょうか。

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○ おわりに−MSWの国家資格の可能性

最後になりますが、MSWの国家資格化の歴史は、厚生労働省がMSWの国家資格はこれでどうかと提案してきたのをMSW自身が拒否してきた歴史です。しかし、健康局は一貫してMSWの業務指針を守り続けています。そして、MSWの業務を行う私達が「国家資格を作ってほしいと」健康局に要望するのを待っています。
医療費抑制による医療崩壊をくいとめる役割をMSWが担い、今こそ業務指針に応えることができるMSWの国家資格をつくる絶好のチャンスがやってきたのです。
京極先生は、「社会福祉士を作った苦労を考えれば、PSWの国家資格ができたようにMSWの国家資格は、MSW自身が望めば作るのは簡単である」と明言されています。
今、MSWの国家資格を作らなければ、MSWの業務にいろいろな職種が入り乱れてきて医療制度や医学知識のなく資質の低下した素人同然のMSW達はいずれ医療の現場から排除される現実がそこに迫っています。現場のMSWが国家資格を求めれば実現できると確信しています。
不安定なMSWの現実を自らの手で共に変えていけますよう、是非とも大阪協会はじめ多くの都道府県協会が全国協議会へ参加していただきますようお願いしたいと思います。

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第1回 全国医療ソーシャルワーカー協会連絡協議会研究大会報告

第1回 全国医療ソーシャルワーカー協会連絡協議会研究大会報告
富山大学附属病院 奥村 ますみ
あさひ総合病院   岡 史緒里

 

第1回研究大会が、平成19年12月8日(土)名古屋市の名古屋第二赤十字病院内研修ホールで開催されましたので報告をさせていただきます。

1 基調講演  「今日の医療制度改革と医療ソーシャルワーク機能の変容」
            ―MSWの労働環境の変化と国家資格の必要性―
    講 師   皇學館大學社会福祉学部  
           教授  山路 克文氏

 

<講演概要>
医療の現場は以前と変わりつつある。質の向上とコストの削減、市場原理の導入によって、医療は商品と捉えられるようになってきた。福祉も「行政」から提供されるサービスから、サービス提供と利用者の「契約」によって提供されるサービスへと変貌を遂げている。
2000年以降、総合規制改革会議の提言を契機に、医療・福祉に介護が加わり、この分野一体的に論じられるようになった。現在は「公」の後退と「民」の躍進の途上にある。
このような動きの中で、医療ソーシャルワーカー(以下、MSW)の国家資格化という問題がある。この問題の争点は、現行の社会福祉士制度が医療ソーシャルワークの専門性を担保し、MSWの身分保全を確保できると考えるか否かである。平成19年度版厚生労働白書の中に「コメディカル」についての記述があるが、MSWは出てこない。「社会福祉部門を担う医療専門職」として位置づけられない限り、医療チームの一員としてコメディカル部門を担えないのではないかと考えられる。

さらに今一つの争点は全国のMSWが配置されている部門として、人工透析、いわゆる難病、母子、小児、リハビリ、長期療養など、「不採算部門」と呼ばれるところに配置される傾向がある。しかし、現在の医療環境は不採算部門やハイリスク部門からの撤退が目立ち、医療提供のバランスが崩れてきている。このような患者を社会的に支えていく要素の強い部門から医療ソーシャルワークの機能が消えてしまうことは病気と闘う患者にとって死活問題である。

さらに、現在、医療ソーシャルワークは複雑化してきている。医療ソーシャルワークは従来型の「病気と貧困」に向き合うことを中心とした医療ソーシャルワークから機能分担と連携の中で生じている「医療福祉問題」に向き合うことが要請される時代に突入した。
平成6(1994)年、中医協診療報酬基本問題小委員会報告「診療報酬改定−今後の流れ」の中に「診療報酬の適正化」という項目があり、以下のような主旨の記述がある。「診療報酬の適正化」のためには、社会的入院患者の是正が必要であるとし、そのために「医療ソーシャルワーク機能を活用」して退院・社会復帰の促進を図るようにと提言している。ここでは「医療ソーシャルワーカーの活用」という表現はされず、「医療ソーシャルワーク機能の活用」という表現がされた。要は「退院促進のため、医療ソーシャルワーク機能を活用するのは誰でもよい」と読み取ることもできる。
2001年第4次医療法改正によって医療と介護の実質的な連携がテーマとなり、介護現場に医療ニーズの高い「患者」が登場するようになった。

今日では、地方からの小児・産婦人科の撤退、医師研修制度で明るみに出た医局と大学病院の危機、一般病院の救急医療からの撤退、自治体病院の危機、医療過誤、医療事故、医事紛争、医療訴訟の増加など長年鬱積していた医療の矛盾が一挙に吹き出す時代に突入した。
しかしながら、現状におけるMSWの実務的な価値は、個々の医療機関のニーズによって決められている。そして、その業務は、個々の機関に採用されたMSWの個人的能力に頼っているのが現状である。現代の複雑な患者ニーズに対応するためには、いわゆる「経験と勘と度胸と…」という個人的能力では身近な限界があり、国家資格に保証されたMSWとそのMSWによる業務が展開されることが是非とも必要である。そのことがMSWの専門性の向上につながるのであり、その専門性が発揮できる環境としての身分保全を確保していくことにもつながるのである。
ここに言う「医療ソーシャルワーカーの専門職性(専門性)」とは、「医療ソーシャルワーカーの業務指針」に準拠しており、「身分保全」については、健康保険、年金保険、労災保険、雇用保険などの労働条件が確保された「正規雇用」が前提であると考える。


<感想>
医療ソーシャルワークは、現在では資格が無くてもできる仕事であるが、専門性の高い仕事だと思う。退院促進のための転院先探しや、制度・サービスの紹介であれば、誰でもできるのかもしれない。しかし、声を上げることが難しい、患者や家族の気持ちを代弁し、意向に沿った転院先探し、制度・サービスの紹介は医療の知識があるソーシャルワーカーでなければできない仕事である。「経験さえあれば誰でもできる」というが、福祉を学び、常に新しい情報が分からなければならないし、人と向き合うための仕事であるから、専門職としてしっかりとした倫理・価値の部分の基盤が必要になってくると思う。

同じ医療チームで働く、医師・看護師らは、社会福祉士や精神保健福祉士の倍以上の時間、現場実習をし、知識を学び、既に働ける状況で職に就く。しかし、医療ソーシャルワーカーの場合、4週間という限られた実習時間では、ソーシャルワークとは何なのかを理解する前に仕事に就くことになる。しかも1人職場、2人職場という医療機関が多く、自分たちの専門性を発揮し、また意見を表明することが難しいのが現状である。さらに自分たちとは違う職種のスタッフが上司ということも多い。

私は精神保健福祉士と社会福祉士の両方の資格を持ってMSWとして働き始めた。しかし、資格は基盤、ベースであって、資格があったからといって、ソーシャルワーカーとしてすぐに現場で実践できるわけではないことを実感した。『障害者の手帳の制度について説明してほしい』と入ってすぐに仕事の依頼が来たが、説明しようにもどうやって面接を進めていいのか、それ以前に制度について窓口がどこ、具体的に使えるサービスは何といった知識さえなく泣きながら医事課に質問にいくことになってしまった。周囲からは『福祉の制度のプロ』と思われているので、『これはちょっと分かりません』と答えるたびに、『一体学校で何を学んできたの?』と怒られることもしばしばあった。1人職場のため、相談しようにも、ソーシャルワーカーの先輩はおらず、同僚や先輩に相談しても仕事の組み立て方やその中身など、どうやっていくかという考え方の基本についてはいつも一人で考えなければならない状況だった。

MSWがMSWとして働ける環境を整えていくには、教育制度を充実させていくことと、医療機関に指定の資格を持ったMSWを複数配置することが必要だと考える。経験や知識に優れた医療チームの中で意見を述べ、ソーシャルワークを行っていくには、自分たちにもそれなりの経験や知識がいることになると思う。そのためにMSWが法律の中に位置づけられることが重要だと考える。

  
(文責 岡 史緒里)

 

2 討論会  話題提供者 
岡部 正文氏(新潟県精神保健福祉士協会会長、茨内生活支援センター施設長)


医療ソーシャルワーカー(以下、MSW)の労働環境について、新潟県医療ソーシャルワーカー協会の会員を対象に実施されたアンケート結果について報告された。在院日数の短縮、入退院の激しさのなかで退院支援などスピードに追われる業務が増す一方、資格手当や残業手当の支給がなかったり、増員の要望がなかなか認めてもらえない状況、MSWのストレス度とのその要因などについて報告された。

岡部氏の報告のあと、愛知・三重・広島・富山県の状況を各県協会の代表が意見交換した。
富山の状況については、富山県としてまとまった資料があるわけではないので、研究大会の前の週に開催した定例研修会の参加者を対象にお聞きした労働環境や専門性に対する現状や思いを報告させていただいた。広島県からは、会員対象に労働環境や研修についてアンケートの準備をすすめているところであるとの報告があった。愛知県からは、平均在院日数の短縮や入退院数の推移が具体的に示され退院支援に追われるMSWの労働実態が報告された。さらに、フロアからも島根・大阪・福岡・宮崎・徳島県など各県協会から派遣されていた参加者を中心に活発な意見がかわされた。個人的な努力により、各自が職場で奮闘しているが、そのことが専門職としての社会的認知や、正当な労働への評価として結びついていない現状が報告されていた。閉会の挨拶において、全国規模でMSWの労働環境についてアンケートを実施すればいいのではないかという提案があり、研究大会参加者全員によりこの提案が承認された。
 
<感想>
平成18年3月20日に発行された日本医療社会事業協会の『医療と福祉』のなかで私は「MSWの専門性と資格」について都道府県を越えて語りあうことが出来る日が近く来ることを楽しみにしているという文章を投稿した。

今回 開催された研究大会は、まさしくそのことの実現であり、感慨深い思いで参加した。各地で働いている医療ソーシャルワーカーが置かれている状況の報告や、率直な意見に耳を傾けるなかで、医療ソーシャルワーカーによるソーシャルワークがさらに制度として整備され発展していくことを、患者さんやご家族の姿を思い浮かべながら心から願うとともに、そのためにより一層努力していきたいと心に誓った研究大会であった。新人ワーカーの岡さんから、名古屋までの車中で、今、この時代に新人・ベテランを問わず医療ソーシャルワーカーに寄せられる期待の大きさと養成課程で習得できる知識や技術のギャップのなかで、辛酸をなめ尽くしたこの半年余りの体験談を聞いた。

また、名古屋駅できしめんを食べたことや、夜の名古屋駅前を彩る巨大なイルミネーションを前にして一緒に感動したことは、今も思い出として心に残っている。「そのようなことの一つ一つが、医療ソーシャルワーカーとして仕事を続けていくエネルギーとなって、自分の中に充電されていった旅であった」ことに、今になって気づいている次第であるが、背伸びせず、本音で語り合うことの大切さに思いをはせている。福祉を学んで医療現場で働く私達、医療ソーシャルワーカーが、チーム医療の一員として自らの役割を確認し、プロとしてお給料をいただきながら病や障害を抱える患者さんやご家族に寄り添い、生活と健康を権利として守っていくことを仕事として実践していくには、人並み以上の努力を要する。その力を、個人的な努力だけではなく、協会の研修や活動を通して育んでいけるよう、また患者さんが直面している諸問題に対して医療ソーシャルワーカーの職能団体が責任をもって対処していけるよう、私達、医療ソーシャルワーカーが誇りを持って仕事が出来る環境を、皆さんと一緒に力を合わせて築いていきたいと、今回の研究大会に参加するなかであらためて思った次第である。

 

(文責 奥村 ますみ)                                                                                   

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全国医療ソーシャルワーカー協会連絡協議会 発足式記念講演会

京極高宣先生の講演「在宅医療と医療ソーシャルワーク」を聞いて
全国医療ソーシャルワーカー協会連絡協議会会長
愛知県医療ソーシャルワーカー協会会長
黒木 信之

 

平成19年7月14日(土)、名古屋第二赤十字病院研修ホールにおいて、「在宅医療と医療ソーシャルワーク」というテーマで、京極高宣先生(国立社会保障・人口問題研究所所長)の講演が行われたので、その要旨を報告する。時代が今、MSWの国家資格化を求めている。この講演の内容は、現場で悩んでいるMSW達に夢と希望を与えてくれている。特に今回の講演で京極先生は、MSWの国家資格の形を具体的に示していただいた。このことは、全国の都道府県医療ソーシャルワーカー協会が、団結すればまさにMSWの国家資格の展望が見えてくる内容である。

記念講演要旨

私がここにいる理由は、これから21世紀の国民医療が、本当により良いものになっていくために、医療ソーシャルワーカーの国家資格がぜひとも必要だと心から確信して、一研究者として今日はここに立っています。今から二百何十年前、ちょうど今日はフランス革命の日ですが、日本の医療と福祉にとっても非常に歴史的な大変重要な日だと見られるようになれば大変光栄です。
私は今日「在宅医療と医療ソーシャルワーク」という内容を考えていたのですが、中味に及びますと、「MSWの国家資格へ向けて」という話になります。

MSWの国家資格のことは、20年も経ちますと過去のことはどんどん忘れられまして、原点が見えなくなってきています。私は、ソーシャルワーカー協会の会員でもあります。新しい会報を見ますと、依然として仲村優一先生は、「社会福祉士だけで結構」との路線を取っていらして、その影響で(社)日本医療社会事業もそういう動きになっているようです。

私の話は5つの柱で成り立っています。1つ目は、「社会福祉士の法制化の難問は何だったか。」2つ目に、医療福祉士は仮称ですけれども、国家資格化はなぜ困難か。3つ目に「MSWの国家資格化はなぜ必要なのか。」これは一番大事なところです。4つ目に、「医療福祉士と精神保健福祉士の違いは何か。」改定案を話します。それから、5つ目は「資格化への対応はいかに」ということで話します。

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1 社会福祉士の法制化の難問は何だったか

それで、最初の社会福祉士法の成立の裏話です、この法律はご案内のように、議員立法ではなくて政府提案をいたしましたけれども、与野党全会一致で決まりました。希な資格法であります。通常は資格法というのは議員立法が多いのです。ところが社会福祉士及び介護福祉士法は、政府提案で全省庁が納得して、しかも全政党が一致して決まった。このことはなかなかできないことです。今からちょうど20年前の1987年、私はそのとき旧厚生省の専門官として、特に政策理論的な役割を担いました。実際に法律を作っていくときに、非常に大きな問題がありました。

一つは社会福祉士の専門性を論証することは非常に困難でありました。内閣法制局で審査を受けていた時に、「介護福祉士は解りやすい。」例えば具体的なケアとか、褥瘡の手当てとか車椅子を押すとか、いろんなことを例示で、ビジュアルに描けるわけですが、「ソーシャルワークとは一体何なのか」と、非常に分かりにくいのです。日本社会事業大学に学校連盟関係の多くの先生が集まって、「なんとか、それをうまく図示できるようなものがないだろうか」ということで、いろいろ議論をしました。結局、夜の11時半ぐらいまでかかったのですが、何も決まらなかった。それで、法制局の議論は、理解しにくいと思うのです。法制局の議論では、義理人情が通じる世界ではないのです。これは、衆議院や参議院の法制局も同じです。論理の世界ですから、法的な論理で、「なぜか」ということをきちんとやらなくてはいけないのです。それでケースワークとはなんぞやという本などを揃えて、私がほぼ独力で資料を作り、説明をしました。そしてこういうものだと、法制局に説明資料を見せなくてはいけないので、ずいぶん苦労をしました。夜10時にはじめまして、朝4時になることもありました。何日も議論が続きますと、法制局の参事官や部長たちも、疲れて目がトロンとしてきて、もうボーッとしてくるわけです。こちらのほうも疲れて議論が中断することもしばしばありました。その中で、当時の参事官が、「ソーシャルワーカーとケアワーカーの違いは何なのだ?どうもピンとこない。内閣法制局の部長や上のほうに挙げるときに、説明がすっきり一言で言えない」とことでした。私があげた例が、やや不見識を承知で分かりやすく言えば夜の飲み屋の話でした。スナックとか赤ちょうちんへ行くと一人のマスターなり、ママさんが一人でやっています。しかし、だんだん高級化して、例えばクラブなんか行きますと、マスターがいてママさんがいて、ホステスがいると分業ができてきます。そのホステスさんに当たるのがケアワーカーで、マスターとかママに当たるのがソーシャルワーカーではないか。そう説明したら、なるほどと理解していただき、そのときはすっきり終わりました。その次の話題に移ったという経緯がありました。

そのときにMSWとソーシャルワークとの関係についていろいろ整理をいたしました。それで、当時、実際には内閣法制局の事例としての資料としては使わなかったのですが、MSWの事例は非常にしっかりしています。ところが、ほかの事例集や児童相談所、福祉事務所の事例もありますが施設になりますと、ソーシャルワークの事例集としてまとまっていないのです。

それで、少し医療ソーシャルワークのいい事例を集めて資料を作ったのですが、それは使わなかったのです。仲村優一先生はその資料を見まして、「MSWとソーシャルワーカーは同じなのだ」と批判を述べられました。ソーシャルワークとしては同じなのですが、それぞれその特殊性があります。当時は、「社会福祉士は医療ソーシャルワーカーを除くもの」という言い方も原案にありましたけれど、それはまずいということで削除しました。医療ソーシャルワーカーになっている社会福祉士がいても、構わないのです。むしろいいことです。ただ、医療ソーシャルワーカーの独自資格として認可されたものではないということは、明確にして、旧厚生省としては、他方で医療福祉士法案を出しました。だから、2頭馬車で、片方は社会福祉士法で社会福祉士を、もう片方は医政局から医療福祉士法を出すということで、スタートしました。
時効でありますので話しますが、実は当時の社会局の原案は、社会福祉士は高卒2年、介護福祉士は高卒1年ということでした。それで、医政局のMSWは高卒3年で原案ができました。 それで、私達はそれに反対して、まず社会福祉士は大卒を基準にすることにしました。もちろん、短大卒の方も、現場経験があれば受験できるようにしました。

それから、介護福祉士は保育士なみに高卒2年以上を基準にしようということで決まりました。ところが、MSWは高卒3年でスタートしていました。それで資格ができますと、看護師と同様に20年、30年、40年はもう変わらないのです。
それから、PSW協会は大卒をもともと望んでいましたから、大卒基準の国家資格がその後できました。いずれにしても、MSW案はPSWを含んだかたちで、法案に至らない段階で潰れてしまったわけです。

それで、社会福祉士はおかげさまでスタートして、20年を迎え、その改正案が今回参議院は通りましたが、衆議院は継続審議となりました。また。改正案が今、ちょっと中ぶらりんになっていますが、参議院選挙後に可決されると思います。

私どもはその当時、いずれは医療福祉士の資格を作らなくてはいけないと思っていました。社会福祉士の人が、医療の世界で活躍するのは大いに結構です。医療福祉士として独自の資格として認めてもらえ、診療報酬にきちっと位置付けられ、病院等で配置基準をきちっとされるとなると、社会福祉士だけではダメでやはり独自の資格を作らなくてはいけないと思いました。正直申して、私自身は社会福祉士法を作るときにバーンアウトしまして、エネルギーを使い果たしてしまいました。もうこれ以上こういうことにかかわっていたら命がもたないと思いました。しかし今まで耐えまして20年もちました。それで、当時は仲村優一先生や秋山智久先生等の関係者に、あとはお任せしたわけです。

当時をふりかえると、仲村先生は、当初、社会福祉士の国家資格はできると思っていませんでした。ですから学校連盟で統一基準を作って、これが社会福祉士にしようという意見と、阿部志郎先生のように、ソーシャルワーカー協会で認定基準を作って、そこを通った人を資格にしようという意見もありました。

それで、その場合は、せめてMSWだけは国家資格化して、後は、認定でしようがないというのが、従来の仲村先生たちのご意見でした。ところが社会福祉士の資格ができたものですから、社会福祉士を取ればその資格をもって医療の世界に入ることができる、それがMSWだと言い出したのです。医療の世界でちゃんとしたMSWの資格として認められた訳でもないし診療報酬もつかない、業務の規定もないということでありますと、やはり、これは架空の話でそれではだめだ思います。
私は資格制度を作るときにいろいろと議論をいたしました。どうも岡村重夫先生や仲村優一先生等のソーシャルワークを研究している方々の中には、ソーシャルワーク至上主義があります。一つのソーシャルワークというのがあってそれがすべての社会問題に対応できるという考えがある。戦後、確かにアメリカは一時期、ソーシャルワーカーのいろんな団体が連合いたしまして、それで連邦政府も州政府もあまりやらなかった。民間団体が相当活動したので、民間ソーシャルワーカーの活躍の場が非常に増えたのです。戦後、岡村先生、仲村先生たちがそれを見て、「これは素晴らしい、これが理想だ。」と感動して、アメリカの理想像を日本にも適応しようという動きがありました。しかし、日本はどんどん社会福祉制度が具体化しまして、厚生省を中心に、各県や市町村がいろんな制度改革を進めていきますと、果たしてアメリカ的なソーシャルワークの資格でいいのか。それから、アメリカもずいぶん変わっています。アメリカのソーシャルワークの資格は州ごとになっており、しかも州によってレベルが違いまして、カリフォルニア州は非常に高いですが、低い州もあります。

当時、ソーシャルワーク至上主義の方は、すべての分野がソーシャルワークの一つの資格で全部やりたい。しかも業務独占だと意味がないということで、最初、社会福祉士及び介護福祉士法案ができたときも、結構抵抗されました。要するに業務独占でないから無意味だという批判もありました。それから、MSWは入っていないからダメだという批判もありました。
コアは社会福祉士だけど、その方がいろんな分野に進むことは大いに結構で、行政になる方もありますし、教育や司法の世界に進む方もあります。

それは構わないのですが、基本のコアは社会福祉士独自の専門性として、それとMSWとは別の道で作ることでやりました。
結果的には、ご存知の、1987年から10年後の1997年に介護保険法ができた年に、精神保健福祉士法ができまして、共通科目は社会福祉士と同じです。それで、専門独自科目が違うかたちで国家試験があり、社会福祉士の人は専門科目だけ取れば、精神保健福祉士も取れることになりました。
社会福祉士はおかげさまで44大基準です。精神保健福祉士も4大基準です。ただし、チャンスを与えようと、他の大学を出た人は1年間の専門課程をやるか。あるいは、短大の方は2年プラスアルファで、現場を経験して国家試験を受けるか、いくつかの道を用意してあります。

それで、当時は大学を卒業基準にするのは非常に大変だったのです。特にMSWが医政局所管で、コ・メディカルスタッフとして、高卒3年制の資格案でした。それよりは、社会福祉士は地位が低いというか、短大卒でいいなっていましたので、これを4大化するために審議会をやりました。もちろん、仲村先生も賛成していただきまして、三浦文夫先生たちも、皆さんが、社会福祉士は4大でということになりました。介護福祉士は高卒2年というのは、せめて保育士と同じレベルにということで一致して、そこで固まりました。それで、今度は逆にMSWは高卒3年でいいと言った人たちは、このままいったら高校卒のコ・メディカルスタッフになるのでまずいといことで、反対運動が起きたわけです。

その中で、当初は、4大卒で、社会福祉士学を基礎とすると言っていたのを認めた人が、当時の斎藤十朗厚生大臣で、「4大卒で受け入れる」と厚生省が方針を変えたのですが、もう資格は求めないという方針に(社)日本医療社会事業協会は変わったのです。執行部が変わりまして、どんどんどんどん左旋回して、「もう社会福祉士だけでいいのだ」と、社会福祉士一本化路線に変わりました。したがって、厚生省は、「団体が要望しない」ことをわざわざおせっかいで作ることはしません。

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2 MSWの国家資格化はなぜ困難か?

精神保健福祉士の場合は、精神保健福祉士法の改正で3回付帯決議ができました。精神医療の分野でソーシャルワーカーの資格を作るべきだという付帯決議がありました。付帯決議は法律ではないのですが、法律がどうこれから展開されていくか、あるいは法律が改正された時にどうするかというときに生きてくる文書であります。


それが全会一致で決まっていましたので、制約条件として社会福祉士の場合は随分いいふうに働きましたが、精神保健福祉士の方がもっといいふうに働いたと思います。医療福祉士は、それがないので今日に至っているのです。


それで、半分は冗談で10年おきに1987年に社会福祉士ができ、1997年に精神保健福祉士ができ、本当は2007年(今年)に医療福祉士ができるべきだと言ったですが、なかなか厳しい状況があります。なぜ困難かと言いますと、いずれにしても4大卒を基準にして資格できたことが非常に、強いのです。今、高学歴化です。例えば、薬剤師さんも6年制だとか、看護師さんを今まで3年制だったのを4年制大学にすると。医者をもうちょっと上げようという動きが出ていて、高学歴化しています。

だから、そういう中で大学卒基準を選択したことは新しい選択で、さらに専門社会福祉士も今度、付帯決議に付いております。まだ厚生労働省は、専門介護福祉士について検討しておりますが、専門社会福祉士はあまり検討していません。


どうも厚生労働省は、ソーシャルワークの資格についてはあまり一所懸命になっていません。コミュニティソーシャルワーカーのことは一応議論しております。医療ソーシャルワーカーの資格は、これは社会部局だけじゃなくて、医政局とも絡んでいます。主として医政局サイドの問題です。一時、(社)日本医療社会事業協会に医政局もかなり研修を出していたのですが、今はもう出さなくなりました。結局、(社)日本医療社会事業協会は研修のための団体です。元々、それで社団法人をつくったのです。医療ソーシャルワーカーの協会では必ずしもないのです。社会局の幹部も、一時期は社会福祉士を持っていて、MSWの研修をすればそれでいいと言っていた。それで社会局に聞きますと、診療報酬をどうするのか、地位や待遇がどうなるのかは一切考えていないという。社)日本医療社会事業協会は元々研修の機関です。本来は国家資格持っていれば、国家資格としての研修の組織として、もっと厚生省はテコ入れしていいんですが、そうはしてなくなっている。


それで、MSWの国家資格化は業界団体が反対している限りはできないのです。ただ多くの医療ソーシャルワークの方々が「是非MSWの国家資格を作ってください」ということであれば、今、期は熟していると思います。何故かといいますと、今、日本の医療は、病院医療中心から在宅医療重視に転換する時期に来ております。私もクリニカルパス(あるいはクリティカルパス)を実地にいろいろ見に行きましたが、優れて機能的なことはソーシャルワーク機能です。

たまたま、いいお医者さんがいたというだけで、やっている仕事はかなりソーシャルワーク的な機能中心です。それから、退院計画も、研究助成で支援したのですが、実際に、地域に患者さんが出て、それをアフターフォローする。看護師さんがかなり中心になってやってみえますけど、やっている仕事はソーシャルワーク機能です。たまたま看護師しかいないので、看護師がやっているということです。

だから、そういった点で見ても、時期は非常に到来しています。

しかしながらMSWの業務の専門性は、どういう効果があったのかのエビデンスがなかなか目に見えないです。話の種としては非常にいいのですが、それが見えないということがあります。村上須賀子先生などが、そういうエビデンスを集めています。いろんな、実証的な例を研究されていますが、そういうものが積み重なると非常に大きなパワーになると思います。


これがはっきりしないと、法律を作るときに、内閣法制局にいったときに、「MSWはどういう役割でどうなの、具体的に数字はどうなんですか、事例を見せてください」などと言われたときに、何も説明できないで、専門性の説明もできないで帰って来くると、社会福祉士と同じということになるのでは困ります。


特に私は、医療の知識と同時に、これからのMSWは、退院計画・退院支援、そして在宅に繋いで、在宅の地域のコーディネートをする。そして、さらには、場合によっては、大変不幸なことですが、ターミナルケアをやらざる得ないときに非常に大きな役割があると思うのです。

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3 MSW国家資格化はなぜ必要なのか?

MSWの国家資格化が困難な理由の一つは、医師会と看護協会の関係です。看護協会は非常に今、力を持っています。医師会と比べても力を持ちつつあります。看護の世界はどんどん政治的レベルが上がっています。アメリカでは大学院で博士課程をもらえます。それで総婦長をやったりしていますが、日本の場合は修士課程までいく人は少ないです。けれども、看護の4大は各県で随分整備されましたので、4大卒が看護の主流になってきました。そういう中で、医療ソーシャルワーカーの仕事が拡大していると自分の仕事を取られるという意識が強いのです。だから、看護協会の幹部は、MSWが国家資格化されることに対して恐怖感を持っています。

ただ、精神保健福祉士もそうですが、ただ、精神保健福祉士の場合は、保健所の精神相談員の方や保健師の方が多いのです。そういう方々は、保健師としてやっているけど、精神科ソーシャルワークの専門家ではないのです。なんだかんだいっても、保健師業です。そういう方への国家試験の受検資格を与えるということで相乗りできたということです。しかし、看護師の中である程度、実際に経験している方で、昼間の仕事だったら大いに経験を活かして今後もやりたい人には、チャンスを与えていいと思います。そのところが解決すると、私は、MSWの国家資格化が一気に進むのでないかと思います。

医師会もMSWが診療報酬に位置づくか位置づかないを重要視しています。MSWが診療報酬で病院に位置づかない限り、医師会も乗らないと思います。
MSWが、きちっと診療報酬が手厚く付いていれば、これは間違いなく医師会も大いに賛成します。しかし圧倒的な経費は、MSWの経費の大部分は、今のところ医療事務費から出ているのです。それを全部診療報酬でカバーできるようになれば、もうこれは、医師会は最後に賛成すると思います。

社会福祉士をつくるときも、実は当時の医師会長に、私は、直接話してきました。そうしたら、医療に入らなければいいということで医師会長の了解したのです。残念ながら、MSWの国家資格は、法案までいく前に潰れたわけです。
医療福祉士の問題で難しいのは、やはり行政の縦割りのことです。

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4 医療福祉士と精神保健福祉士の違いは何か

MSWの本質的な意義の一つは、第一番目に、在宅医療の本格的推進の立役者になるとはっきり明記しなくてはいけない。

精神保健福祉士の場合は、精神障害者の方の社会復帰です。それをメインにしています。社会復帰ができない方で、病院に長くいられる方もいますが、メインの業務は精神障害者の方の社会復帰だということです。
在宅医療の推進という幹を定めた上で、難病問題や患者のケアの問題等いろんな問題がありますから、それを枝葉にするとMSWの専門性を十分説明できるようになってくるのです。
今、なぜMSWの国家資格化が必要かということを、国民に分かりやすく訴えられるものがないと資格化はなかなか困難だと思います。

それから、MSW従事者の地位と待遇の向上が必要です。やはり、MSWは医療事務ではなくて、医療行為の一部であり、診療報酬も少しではなくて、一人前の人件費が十分にカバーできるものを作ることが必要ではないか。
今、地域包括支援センターができていますが、そこに社会福祉士が位置付けられたという点で画期的なことです。保健師とケアマネージャーと社会福祉士の3人で大体、チームを組んでやるということになっています。極端に言いますと、MSWが1人いれば、他の1人と組んで2人でできるのではないか。あとはケアマネージャーでも看護師でも社会福祉士でもいいということで随分効率化ができます。MSW国家資格が存在しないから3人必要になってしまいます。そういう点でも、いろんな役目がMSWにはあるのではないかと思います。この点は、これから大いに政策的な効果や役割を研究し提言していく必要があるかと思います。

それから、病院で若いMSWの方は、社会福祉士か精神保健福祉士どちらかを持っている方が多く大いに結構です。ただ、精神保健福祉士と医療福祉士の違いは何かということを、一応、再度おさらいしておく必要があると思います。
1987年の医療福祉士法案のときは、医療福祉士と精神保健福祉士をいっしょにしたものをつくろうとしました。そういうことで業務指針をつくってその後いろんな研究をしたのですが、歴史的な偶然もありまして精神保健福祉士が先にできてしまいました。MSWが置いてきぼりになったわけです。

そのときに、十分にまだ議論されていないことがありました。精神保健福祉士と医療福祉士は共通性がもちろんあるが、その違いは何なのかということをきちっと認識する必要があります。 それから、地域でのコーディネート機能というのは、法律的にも位置付けてくれないと、勝手に患者の家に行って、それで家宅侵入になってしまいます。退院した方のアフターケアをするのがMSWの仕事です。MSWの職種としてやっていますので、ここを法制上銘記していないと困るわけです。

それから、ターミナルケアへの対応です。日本では、今年も大いに死ぬ方が増えてくると思います。タクシーで、ここの会場まで来るのに立派な葬祭場がいくつかありましたけれども。昔は結婚式場でして、私の若い頃は、結婚式場というのが随分建っていたんです。今はみんな結婚する人が少なくなってしまって、葬祭場になってしまっています。
ターミナルのときにどう立ち会うか、これはこれからのMSWにとってすごく大きな問題です。

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5 資格化への対応はいかに

左のほうに精神保健福祉士の項目、独自項目が載っています。それに対して、右のほうに医療福祉士(仮称)が載っています。

例えば、精神保健福祉論という総論があります。それに対しては医療福祉論という総論があっていいと思います。精神医学に対して、医療特論があります。
末期癌の患者に関することの知識がどうしても必要です。医学一般では絶対足りません。
それから、精神保健学に対応するのは在宅医療論ということで対応できると思います。
それから、精神科リハビリテーション学というのがあります。これは広い意味でリハビリテーション医学でいいのではないかと思います。特に在宅リハビリテーション論ですね、OT・PTの方を派遣したり、医者と相談するとき、あるいは住宅改修にもかかわるときに、OTの方などの力は随分と助かります。
それから、5番目は精神保健福祉援助技術総論のところは医療福祉援助技術総論になります。これは退院計画というよりは退院支援と言ったほうがいいかもしれません。地域ケアマネジメント、地域でコーディネートする仕事などを含む。こういうのは、精神保健福祉士の各論と少し違うのではないか。こういうところをきちっと位置付ける必要があるのではないかと思います。
最後に、資格化への対応はいかにあるべきかの科目表示例があります。このSWは社会福祉のことであります。PSWは精神保健福祉士のことで省略した言葉を使っておりますが、共通科目があって、社会福祉士と精神保健福祉士は独自科目に乗っているかたちになっています。養成課程や国家試験でも同じです。

それで、MSWつくるときに、やはり独自科目を載せたかたちで、同じように作るべきではないかと思います。
大まかに考えられるのは、1つは、MSWができたときにはこういうかたちでできる。第1は、社会福祉士有資格者がMSW独自科目を履修してくるケースで国家試験を受ける場合です。
それから第2は精神保健福祉士有資格者がMSW独自科目を履修してくるケース。
第3が大事で、看護師等がMSW独自科目、および、共通科目を履修してくるケース。若干の科目免除があると思いますが、そういうコースが考えられます。それで、精神保健福祉士のときと同じように、看護師等で非常に訪問看護とか熱心にやっている方、実務経験を活かして受けられるコースがあってもいいと思います。
それから4番目に、これは大学等でMSW独自科目および、共通科目を履修してくるコースです。これも現実、精神保健福祉士の社会福祉士と同じように1年課程でいいです。プラスαと1年、それか、あるいは福祉系だったら、その4年の中でやれる。
最後は、資格証をつくるときに一番大きな問題で、既に医療現場でMSWの実務経験を3年以上持つもののコース(短期養成)です。ですから資格のない方も、このコースで救われるわけです。
若い方の場合は、みんな大学院、社会福祉士か精神保健士か、どちらかチャレンジすることがかなり可能ですが、年配の方は少しそれが難しいです。

このように例えば5つのコースを考えました。
問題は、国民にMSWの国家資格の必要性をいかに訴えるかです。例えば二木立先生は「MSWの国家資格化は困難だ、困難だ」と言っています。困難なことは間違いないです。もし困難だと言うなら、社会福祉士法を作るとき「こんな困難なんて世の中にはない。」とさえ思いました。その困難に比べると、PSWの国家資格化はなんて簡単だと思いました。MSWの国家資格は、もっと簡単だと思います。
私は、必要性があるなら、どんな困難でも乗り越えることできると思う。社会福祉士をつくることを考えれば、MSWの国家資格をつくるときはより簡単です。皆さん方が、「ぜひつくれ」ということで、まとまって団結されれば比較的に早くできると思います。

今、医療の世界は大きく動いていますから、こういう変動期にこそ新しい資格制度がいると思います。
ちょうど社会福祉士をつくるときは、シルバーサービスができています。あのときに一つの契機として、シルバーサービスの民間の企業者側から、そこに人を配置して、その良心的な触れ合いをできるようにしようということで、社会福祉士や介護福祉士をつくったのです。

規制緩和、規制緩和という政治家やマスコミの声に負けて、きちっとそういう人を配置するということを避けたのです。だから、コムスンの問題が起こったのです。
原点をたどれば、実は社会福祉士や介護福祉士はそういうことがないようにするためにつくった制度だったからです。これから医療の世界も、在宅医療を中軸に大きく動いていきます。ぜひ在宅医療におけるMSWの必要性とそのエビデンスを現場できちっと把握して、そして、問題を上げることで、相当大きく変身するのではないかと思います。

個人的に、私は社会福祉会のいろんな人々と仲良くしております。その人の罪を憎んでその人を憎まずと考えて今日まで来ました。その人の学説を憎んでその人を憎まずって言っています。
歴史的な事実として、本来、反省しなくてはいけない人たちが、まだ反省しないで頑張っていることが問題ではないかと思います。私が、黙っていると「その人の罪を許している」ということになってしまうので社会福祉士成立について多少裏話もしてしまいました。
私の話も参考になるかわかりませんが、これを契機に皆様、頑張って、遠慮せずに国家資格に近づけて、一歩一歩進んでいただくことを祈念いたしまして、話を終わりたいと思います。

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資料 MSWの資格の形

 

1 (例示)独自科目のカリキュラム比較(PSWとMSWの違い)

 
精神保健福祉士
医療福祉士(仮称)
1
精神保健福祉論
医療福祉論
2
精神医学
医学特論(末期ガン・難病・臓器移植等)
3
精神保健学
在宅医療論
4
精神科リハビリテーション学
リハビリテーション医学
5
精神保健福祉援助技術総論
医療福祉援助技術総論
6
精神保健福祉援助各論
医療福祉援助技術各論
(退院計画・地域ケアマネジメント・
ターミナルケアを含む)
7
精神保健福祉援助技術演習
医療福祉援助技術演習
8
精神保健福祉援助技術実習
医療福祉援助技術実習

 

2 − 科目表示例 −

SW
独自科目
PSW
独自科目
MSW
独自科目
共通科目

 

3 おおまか5つのコースが考えられる。
(第1コース) 社会福祉士有資格者がMSW独自科目を履修してくるケース
        (通信又は通学)
(第2コース) 精神保健福祉士有資格者がMSW独自科目を履修してくるケース
        (通信又は通学)
(第3コース) 看護師等がMSW独自科目及び共通科目を履修してくるケース
        (通信又は通学)
(第4コース) 大学等でMSW独自科目及び共通科目を履修してくるケース
        (通信又は通学)
(第5コース) 既に医療現場でMSW実務経験を3年以上持つもののコース
        (短期養成)

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